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世の中には多くの成功法則が存在します。

その多くに共通していることは「目的・目標を持つこと」です。

確かに、ゴールが決まらなければどちらに向かって走れば良いかが分かりません。

そして、もうひとつの共通点は「Whyを追求すること」です。

最近は特にWhatではなくWhyを考えることが大切だと強く言われることが増えています。

例えば、東洋経済ON-LINEには世界的なイラストレーターの堤大介さんがWhyを問う大切さについて講演したことが掲載されています。

堤大介氏が高校生に説く「why?」の重要性

http://toyokeizai.net/articles/-/183819?utm_source=Twitter&utm_medium=social&utm_campaign=auto

 

一方、日本では学校教育でも会社でもWhyを問う重要性についてはあまり語られることがありませんでした。学校では「暗記」するべきとは決められていますし、多くの会社では従業員はWhatをどうすれば実行できるかについて考えることが求められてきました。(Whyは会社が他社の成功事例を参考に作れば良かったのです。)結果的に、「なぜ」を口にすることは「面倒なヤツ」のレッテルを貼られるリスクすら存在しました。そのため、組織の中には「Whyの追求に抵抗感がある方」も珍しくないのが現実です。

しかし成長が頭打ちとなり、社会の中に模範解答が見つからない時代になった以上は常にWhy(理由、意義)を問わなければ道を誤る可能性が高いのです。多くの企業不祥事の遠因もそこに存在するでしょう。

私があるプロジェクトのコンサルティングを依頼された際のお話です。

その巨大プロジェクトのプロジェクト・マネージャー田中さん(仮名)は技術畑の出身でした。会社から大きな期待をかけられたそのプロジェクトをマネジメントする上で田中さんは多くの悩みを抱えていたのです。悩みの原点は「マネジメント作業のほとんどは利害関係者間の意見調整である」と言う事実です。 大きなプロジェクトにおいては顧客やパートナー企業との調整だけではなく、社内の経営層や各部署との調整作業が大変に多いのが現実です。設計作業と異なる会議の連続で田中さんは疲れ切ってしまいました。 田中さんが夜は眠ることができず、食事も喉を通らなくなった頃に私はプロジェクトの支援に入ったのです。

私は田中さんと対話しながら、「なぜこのプロジェクトは期待されているのか?(社会的意義)」「田中さんは何のために技術者になったのか?」などを明確にして行きました。 そして、「社会に大きく貢献したい」と言う田中さんの思い、情熱について語り合ったのです。そして「マネジメントはひとりでがんばることが正しい」と言う田中さんの思い込みがあることも分かりました。その上で、このプロジェクトを成功させ、社会に貢献するためには今までの思い込みも切り捨てることが大事であると田中さん自身が気づいたのです。

その後、「今の課題リストアップ」「田中さんはやるべきこと」「関係者に協力してもらうためには」「誰に何を協力してほしいのか」などのブレークダウンがスムーズに実行され、プロジェクト内に協力者・賛同者を持った田中さんはプロジェクトをリカバリさせたのです。

Whyを明確化することはやる気(モチベーション)をアップさせるだけではなく、洗練されたHowを作り出すためにも有効です。プロジェクト完了時の田中さんの笑顔を今でも私は忘れることができません。

初心に戻り、成功法則に則って成長を目指しましょう。

 うつみ まさき

  (株)イノベーション・ラボラトリ

  コーポレートコーチ