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リーダーシップ:成功・成長のために「優秀な先輩方の失敗」から学んだこと

プロジェクトマネジメントについて勉強し、色々な専門的方法論(Methodology)を知る「期待されるリーダー」がプロジェクトの運営に失敗する例は枚挙にいとまがありません。 ここで、プロジェクトとはシステム開発だけではなく、新規事業開発・新商品開発なども含まれます。
難しい課題に挑戦しているので失敗を避けることはできませんが、致命的な失敗は出来るだけ避けたいものです。

致命的な失敗の原因は複雑であり、簡単に「○○が原因」と決めつけることは出来ないでしょう。しかし、関連性の強い要素は間違いなく存在します。

私が研究開発部門やマーケティング部門に在籍していた頃、大変に聡明な先輩方に数多く出会いました。 知識が豊富で、バイタリティに溢れた態度で仕事に打ち込んでいる方が多かったのですが、必ずしも「成功率」が高くないように思えました。 若かった私は最新の方法論実践が課題達成への近道だと考えていましたが、必ずしもそれだけでは成功の確率が向上しないことも分かってきました。

 

「彼らはなぜ失敗するのか?」は私にとって大変に興味深いテーマになりました。

たとえば、システム開発部門に在籍していた加藤さん(仮名)は日本でもトップクラスの専門知識を持った技術者でした。 頭の回転も速く、上司の評価も高い方だったのですが、彼がマネジメントするプロジェクトは最終工程で大きな品質問題を発生させるのです。それも高度に技術的な問題ではなく、上流工程でリスク管理していれば回避できる問題ばかりでした(上流工程で多くのメンバーはリスクを予感していました)。火消しのために多くの人員を投入しなければなりませんでした。  

また、商品開発部門に在籍していた中田さん(仮名)は新しい製品の開発に情熱を持っていました。 明快なプレゼンテーションで経営幹部を説得し、製品開発費を確保したのですが、次第にプロジェクトメンバーの信頼は彼から離れていきました。  プロジェクトが成功するとは思えなかったのです。 多くのデータや米国での成功事例を用いた説明を聞いても、プロジェクトメンバーには「泥船」に見えたのです。 最終的に、中田さんは会社を去ることになりました。

失敗を積み重ねる先輩方から私が学んだことのひとつは、「プロジェクトを成功させるためには事実を正しく見る必要がある」と言うことです。 あまりにも「当たり前」のことが実践されていなかったのです。
人は合理的に意志決定しているとは限らず、「見たくないものは見ない」と言う態度を取ることがあります。 心理学の知見である「認知的不協和」「スコトーマ(盲点)」の事例を繰り返し見るような気がしました。 大きなリスクや問題が存在するにも関わらず、そしてそれを認知している人は何名もいるにも関わらず、それらを無視してしまうと言う事実。 その存在を認めることは自分にとって極めて都合が悪いため、無意識に情報を排除してしまうのです。 結果的に大きなダメージを組織に与えてしまうのです。

仏陀の有名な教えに八正道があります。 八正道とは悟るための8つの正しい行いです。そのひとつ目は「正見」と呼ばれ、「正しく見る」ことです。先入観や偏見を持っていては正しく物事を見ることはできません。正見は科学的な態度にも通じるものです。 プロジェクトを成功させ、人と組織を長く成長させるためには「正しく見る」習慣は最も大切な行為です。 逆に「正しく見る」ことができれば成功・成長の確率は大きく高まります。「正しく見る」ことが実践できているかどうかは、常に思考や行動をふり返ることで実現が可能です。 人には認知的不協和があることを知った上で、冷静になって常にふり返る習慣を持つのです。 そのために、第三者の意見を冷静に聞くことも必要かもしれません。アドバイスをしてくれる「味方」が身近にいることは大切な条件でしょう。

常に自分の判断や行動を省みる習慣を持つことで成功を手に入れましょう。

うつみ まさき
コーポレート・コーチ
(株)イノベーション・ラボラトリ
http://innovation-labo.com/