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三菱マテリアル不正問題はリーダーの当事者意識?!【マインドセット・イノベーション・リーダーシップ】

企業トップのマインド・セットがその企業の限界を作ります。

トップ・リーダーに当事者意識がなければ、組織の中で責任転嫁がはじまります。 そして、組織は衰退します。

2018年2月13日、三菱マテリアルの矢尾宏会長が経営陣から退くことがニュースとなりました。(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2684626013022018X13000/?)

今回の人事について、同社広報室は「通常の人事」と説明しています。
しかし、昨年から続いている三菱マテリアルグループの製品データ改ざんなど不正問題が影響していることは確かであると報道されています。

今回の同社不正問題についての対応を見る限り、リーダー(経営幹部・トップ)の当事者意識の低さが問題をより深刻にしています。
不正行為が長期間続いていることから、根深い企業文化が背景として存在するはずです。
そして、当事者意識の欠如は近年の不正問題の特徴です。

三菱マテリアルグループの不正問題は、会社としてその原因を調査中としています。
ただ、記者会見での経営トップを見ると「当事者意識」は相当に低いと判断できます。
たとえば、当初竹内社長は今回の問題について「直接不正行為を行った人間のコンプライアンス意識の低さ」が原因と発言していました。
これは自分たちに責任はなく、現場の人間が悪いと発言したようなものです。

「具体的な質問にはお答えできない」「調査結果を待ちたい」などの発言を繰り返したと報道されています。
経営幹部は現場で何が起きているか分からないため、責任ある発言ができないのでしょう(現場は他人事)。

三菱マテリアルも、会社としての対応が後手に回ったことは認めています。
結果的に、問題のある製品出荷が続きました。
不正な製品を出荷した顧客は約750社になると報道され、その中には自動車関連など高い品質・安全性が求められる会社が多く含まれています。
影響は極めて大きいでしょう。

三菱マテリアルは保守的な組織文化があると言われています。
しかし営業利益などは減少傾向にあり、工場などの現場を知らない管理部門出身のトップが対策を急ぐと改善が難しい現場の苦悩や苦労が無視される傾向が強まります。

トップ(リーダー)に当事者意識がなければ「自分たちは運が悪かった」と考えて、構造的な問題は温存されます。

以下は、「私がある会社で経験した」ことです。
ある管理部門との打ち合わせに参加した際に、
  自分たちが指示した内容が現場に浸透しない
ことを管理部門メンバーが怒っていました。
現場がダメだから」と愚痴を言うのです。

しかし、彼らは「現場の事情」をしっかりと調べることがありません。
管理部門が指示したことに現場は従うことが当たり前であると考えていたのです。

しかし、コスト削減や納期短縮などで現場は苦労しています。
現場の努力だけで解決できない問題も存在します。

ただ、それが明らかになると「管理部門スタッフも何かしらの努力・工夫が必要」となるため、構造的な問題には目をつぶってしまうのです。

つまり、問題が発生する原因の一端は自分たちにあると考えたくないのです。
これが、多くの組織でマネジメントが形骸化する典型的なパターンです。

多くの場合、構造的な組織問題は複雑です。
問題が発生しても、単純に「原因⇒結果」の関係を示すことはできません。
多くの要素が相互作用しながら問題を深刻化させます

それを簡単に説明しようとするので、極端な「単純化」が発生します。
最も代表的な単純化は「犯人捜し」です。
特定の人(事)が悪いと決めつけてしまえば、分かりやすいストーリーで説明が出来ます。
特定の人に責任を転嫁できます。
そのようにして構造的な問題を無視するマインド(考え方)が出来上がります。

そのマインドを変えることで組織は劇的に改善します。
人も組織も成長します。
全員で改善(変化)することが成功の鍵です。

「自分たち」は変わることができると決心することから品質も、利益も向上する改善活動がスタートするのです。

うつみ まさき
コーポレート・コーチ
(株)イノベーション・ラボラトリ
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