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利益・品質向上とイノベーション(変革):経営者の「知らなかった」は本当か?

最近、有名な大企業で不祥事が続いています。
そして、記者会見で経営者たちは「自分たちは知らなかった」と説明します。(もちろん、「知っていました」と説明すれば不正の隠蔽となるため、そのような発言はしないでしょう) 
たぶん、彼らの言わんとすることを善意で解釈すると「部下から報告がなかった」と言う意味だと思います。 現場の責任者たちが経営者に「あなた方の指示に従うと現場が機能しないので不正をします」とは言うはずはありません。

多くの大手企業では経営幹部が現場を視察し、そこで対話会を行います。
工場、研究所、支社店などを訪問し現場の様子を直接見て、担当者の意見を聞くことが本来の目的です。 ただし実際は、現場の管理職たちは「自分たちの良いところ」だけを見せる努力をすることが多いでしょう。 対話をする現場メンバーの発言内容を事前にチェックし、時には想定問答集に近いものを渡すこともあるようです。 社員食堂で経営幹部が昼食を取るときには、幹部の周りには若手の女性社員ばかりを配置し、世間話で盛り上げる努力もしていると聞くこともあります。

まさに、茶番劇です。 形骸化、儀式化しています。
経営幹部も自分が茶番劇を演じていることは分かっていて、でもそれを口にすることがないのでしょう。 多くのマネジメントが茶番劇化しているのです。
茶番劇に時間と労力を使っていては、生産性が上がるはずもありません。

昭和的な表現を使うならば、関係者全員が「サラリーマン化」したために当事者意識を持った人が少なくなってしまったのです。

実は、売上げ・利益を向上させるために難しい技術開発や最新のマネジメント理論の導入が必要とは限りません。 製造業やサービス業などの業界に問わず、当たり前のことがないがしろにされたならば会社の衰退がはじまります。
当たり前の基本は、現場・現物を正しくものを見て、正しく考え、正しく行動することです。問題が発生した際に誰かの犯人捜しをするのではなく、成長のタネを探すのです。
リーダーはその自覚が期待されています。
現場には新しいアイディアのタネがたくさん落ちています。 ただ、それを現場の人たちが見つけることができるとは限りませんし、現場の力だけで花咲かせることができるとは限りません。


当たり前のことを当たり前にするために話し合い、行動する。「常識」と言う原点に立ち戻るのです。
生産性向上、売上げ・利益向上は当たり前行動の先に確実に存在します。

 

うつみ まさき
コーポレート・コーチ
(株)イノベーション・ラボラトリ
https://innovation-labo.com/
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