『午後の紅茶』炎上。リスクにリアリティを持ち、成功する
【リスクマネジメント、リスク管理、盲点、コーチング】
こんにちは。
コーポレート・コーチの内海正樹です。
私は組織リーダーのみなさんへのコーチング(マインドセットのサポート)や、コミュニケーション・ファシリテーションなどのトレーニングをさせて頂くことで、個人や組織のより良くすることをミッションに掲げて活動しています。
多くのビジネスリーダーは常にビジネスリスクに囲まれています。
特に最近は製品やサービスで競合他社に敗北するのではなく、自分たちのリスク管理不全で自滅するケースが増加しています。
~不祥事と呼ばれるものは、その典型例です。~
コーチングを受けたビジネスリーダーから
当事者だけでは「ビジネスリスクの存在が認知できないことが分かった」
との声を頂きます。
なぜ、最も多くの情報を持っている当事者がビジネスリスクを見つけることができないのでしょうか?
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先日(2017年4月26日)、キリンビバレッジの公式ツイッター アカウントから投稿がもとになり所謂ネット上で「炎上」が発生したことがニュースになりました。
(https://dot.asahi.com/dot/2018050400010.html)
『午後の紅茶』を飲んでいそうな女性を揶揄するようなイラストを投稿されたのです。
キリンビバレッジは、5月1日にそのツイートを削除して、謝罪文を発表した。
ニュース記事では、
問題となったツイートでは、『午後の紅茶』のユーザーを「午後ティー女子」と名付け、 それを「モデル気取り自尊心高め女子」「ロリもどき自己愛沼女子」などと4種類に分けてイラストにしていた。 それぞれのイラストの中にはそれぞれの細かい特徴を示す注釈が加えられていた。 例えば、「モデル気取り自尊心高め女子」であれば「太ってないのに太ったと連発する」 「冬でも夏でもスタイルのわかる服を着る」といった具合だ。
と伝えられています。
また、別の記事では
キリン株式会社コーポレートコミュニケーション部の担当者によれば、 当該のツイートは「午後の紅茶に親しみを感じて いただくためにイラストレーションを活用した」企画であった。 企画段階から「しかるべき社内手続き」をしていたが、こうした炎上は予期できていなかったという。 「お客様を不快にさせてしまった結果を真摯に受け止め、削除いたしました」と語った。
(https://www.huffingtonpost.jp/2018/04/30/kirin-gogotea_a_23424066/)
と 紹介されています。
<<<キリン内部の正式な業務プロセスではリスクを発見できなかったのです。>>>
キリンビバレッジは日本を代表する清涼飲料メーカーです。
炎上商法などを仕掛ける会社ではないでしょう。
キリン内部でどのような検討・話し合いが行われていたかは分かりません。
「ネットでの過剰反応」と考える人も存在するかもしれません。
ただ「お客様本位」を標榜する会社である以上、今回の炎上を喜ぶ人はいないはずです。
<<<マイナスイメージは、人の行動に強く影響を及ぼします。>>>
なお『キリンビール』に関しては、2017年9月5日放送のテレビ番組「ガイアの夜明け」の中で
・「今の2倍に売り上げを伸ばす」と宣言した営業担当者が目標を達成できず
・飲み会の席で上司から叱責され涙を流す
シーンが放送され、「パワハラだ」として炎上したことがあります。
~「2倍に売り上げ」はスローガンとして勇ましいですが、成果目標としては疑問です。~
つまり、キリンビバレッジは「ネットでの炎上」経験を持っている会社です。
企業・組織が経験を活かすことがいかに難しいかが分かります。
キリンビバレッジほどの大企業であれば、過去のデータ分析を行うことで消費者行動・消費者心理に対する知見を持っていても不思議ではありません。
「消費者心理に関心がない」はずはありません。
多くの企業・組織で問題が発生した場合には、再発防止のために
・問題分析を行い
・チェックリスト・チャックシートを作り
・業務プロセスの見直し、設備を更新します
工場などの製造現場では「ポカヨケ」が実施され、効果的な改善も進みます。
~ポカヨケは、工場などでの作業ミスを防止する仕組、装置のことです。~
しかし人間の「考え方」など『高度な情報処理』『意志決定』の場では、過去の経験を活かすことは容易ではありません。
問題の当事者以外の人は「リアリティ」を持って問題に臨むことが出来ないからです。
~他人事になり、まじめに考えようとしても真剣に考えられないのです。~
・たとえば妊娠することのない男性は病院等で開催される父親学級などで「妊婦の大変さを体験する教育」を受けない限り、妊婦の苦労に実感が沸きません。
・若者は、視力や手足が衰えた老人の苦労が容易に理解できません。
・介護を経験した人でなければ、その大変さは分かりません。
リアリティがなければ、真剣に考えることができません。
現代のビジネスにおいて、ビジネスリスクのマネジメントは非常に重要です。
ただし、現実には適切なリスク管理を実施することは極めて難しいものです。
特に、組織は「似たような価値観」を持った人たちが集まります。
自分たちの盲点を拭い去ることが出来ないのです。
ビジネスリーダーには、利害関係の薄い「第3者の視点」が大切です。
組織内外の声を「参考にする」のです。
コーチやコンサルタントとの対話は貴重です。
場合によっても、組織の命運が決まります。
多くのリーダーは目の前の問題解決に忙殺されます。
目の前の問題のみに関心を持っていては、いつかは袋小路に迷い込んでしまいます。
変化が大きく、複雑なビジネス環境においては、
意識・視点を変えることが、「成功」に直結します。
うつみ まさき
(内海 正樹)
コーポレート・コーチ
(株)イノベーション・ラボラトリ
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