裁量労働制では生産性が上がりません
【生産性向上、成果主義、賃金、コーチング】
コーポレート・コーチとして多くの組織に関わっています。
多くの組織の目的は、生産性を上げることです。
今まで、成果主義や目標管理、ITシステムの強化他で生産性を上げる努力をし、期待したほどの効果が上がらなかったのです。
これらの施策が間違っていたのではありません。
ただ、少し視点を変えることで生産性は向上します。
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最近、裁量労働制導入について話題になることが増えました。
裁量労働制とは、
労働時間ではなく、「労働者と使用者の間で定めた時間だけ働いた」と
見なして賃金を支払う仕組みです。
そして、裁量労働制は「成果主義」とも深い関係があります。
労働時間ではなく、成果に対して賃金を支払うことになるからです。
なぜ、「裁量労働制が必要なのか?」と言う疑問に対する典型的な回答は、「日本では生産性が低いから」と言うものでしょう。
裁量労働制では絶対に「頑張り」を評価してはいけない理由
(http://diamond.jp/articles/-/164415)
日本の生産性に関しては、日本生産性本部が2016年のデータから
・日本の時間当たり労働生産性は46.0ドルで、OECD加盟35ヵ国中20位。
・日本の1人当たり労働生産性は、81,777ドル。OECD加盟35ヵ国中21位。
(https://www.jpc-net.jp/intl_comparison/)
一方で、裁量労働制の対象範囲を拡大することに反対する意見もあります。
「定額働かせ放題の制度」となるリスクがあるからです。
私は裁量労働制を採用している職場・組織との関わりがあります。
裁量労働制が生産性向上に寄与する職場・職種は存在します。
【一方、「単に賃金制度を変えても組織の生産性は向上しない」でしょう。】
組織の生産性には、
・マネジメント
・業務プロセス
・社風
など多くの要素が関係しています。
今回は、その中でもマインドセットやコミュニケーションについて記述します。
これから時代において一段と重要になる知識労働では、担当者の動機(モチベーション)が非常に重要です。
それでは、そもそもどのような動機によって人は生産性を大きく向上させるでしょうか?
答えは、「内発的動機」です。
内発的動機とは、自分のために自発的に起きる動機です。
好奇心、自己有用感などから起きる動機です。
動機には、「外発的動機」も存在します。
外発的動機とは、自分の外側からの刺激によって動機付けされるものです。
ご褒美を与えることで、やる気を出してもらうのです。
つまり多くの従業員に対して、中長期的に賃金によって高いモチベーションを維持し、生産性を上げて行くことは難しいのです。
この考え方は、
『モチベーション3.0』
(Drive: The Surprising Truth About What Motivates Us)
ダニエル・ピンク著 講談社
によって一般に有名になりましたが、すでに長い研究の歴史を持っています。
では、どうすれば組織の生産性を上げることができるでしょうか?
その答えは、【従業員の自主性・自律性を強化する】です。
多くの従業員は、「お金のために働いている」「生活のために働いている」「働かされている」と考えています。
この状態では積極性は生まれず、生産性は向上しません。
結果的に、成果を出すため長時間労働となるのです。
自主性・自律性を強化する方法は、すでに数多く発明されています。
すでに存在しているのです。
学ぶ術も用意されています。
リーダーは、ムリをして前向きな態度を装う必要はありません。
人間関係の中で不協和音が聞こえれば、否定的な感情が生じることは当たり前です。
「信頼関係を作り、お互いに協力して目標を達成したいと伝える」ことがポイントとなります。
確かに、組織の生産性向上は大変に重要です。
ただ、生産性向上のために従業員・個人が不幸になって良いはずはありません。
それは、文明国家・文明社会を否定する行為です。
ステークホルダー全体の目的達成の結果として、組織の生産性は向上されるものなのです。
そして、それは可能です。
うつみ まさき
(内海 正樹)
コーポレート・コーチ
(株)イノベーション・ラボラトリ
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