土光敏夫は東芝に何を残したのか?リーダーの覚悟。
【覚悟、利益、リーダーシップ、組織の崩壊、コンプライアンス、コーチング】
私がコーポレート・コーチとしてリーダーのみなさんと対話する際には、リーダーのみなさんが持っている「覚悟」に強い関心を持って接しています。
覚悟は、当事者意識から生まれます。
自分の頭で考え、自分自身が目標を設定することから当事者意識は生まれます。
覚悟を持たないリーダーが率いた組織は、中長期的には疲弊し、衰退します。
没落していく組織を見ると、覚悟を持たないリーダーが率いていることが多いことに気がつくことでしょう。
だからこそ、リーダー自律的に覚悟を持つことできるように支援することがコーポレート・コーチには求められるのです。
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先日(2018年4月24日)に、NHK Eテレ「知恵泉」にて土光敏夫さんが特集されました。
土光さんは「昭和の名経営者」と呼ばれていますが、1988年(昭和63年)に他界されています。
既に、その名前さえ知らない方も多いかもしれません。
土光さんは、石川島重工業(後の石川島播磨重工業、現IHI)や東芝を経営危機から再建し、日本経済団体連合会(経団連)の会長として活躍しました。
さらに、鈴木善幸首相に請われて第二次臨時行政調査会(土光臨調)でも活躍しています。
大企業の経営者であったにも関わらず、その極めて質素で無私の生活ぶりからメディアでも「メザシの土光さん」と呼ばれました。
その清貧ぶりは現代の価値観と異なっているかもしれません。
しかし、ある理想的リーダー像を体現した人物です。
(https://style.nikkei.com/article/DGXMZO19272680W7A720C1000000?channel=DF170320167060)
(https://style.nikkei.com/article/DGXMZO19272690W7A720C1000000?channel=DF170320167060)
(https://style.nikkei.com/article/DGXMZO19272700W7A720C1000000?channel=DF170320167060)
名門企業である東芝の凋落は大きなニュースとなりました。
2015年に発覚した不正会計事件や、子会社である米原発会社ウェスティング ハウスなどの大赤字の影響で事実上グループが解体しました。
家電事業などを海外資本に売却し、現在の東芝は社会インフラビジネスの会社です。
土光さんが、当時の東京芝浦電器会長石坂泰三さんに請われて社長となったのは1965年です。
経営者として活躍していたのは50年も昔のことです。
土光さんの考え(思想・経営哲学)が現代の東芝からは消えてしまいました。
たとえば、土光イズムの特徴である
・社長も社員も同格なのである
・仕事は事業部に全面的にまかせ、トップ、役員は、
その活動を外側から管理し、援護すればいい
と言う姿勢は、問題を起こした東芝にはありません。
土光イズムを排除し、東芝を支配した価値観(社風)は何だったのでしょうか?
それは、
【上司の意向に逆らうことができない企業風土】
です。
それは、東芝が公表した不正会計の調査報告書にも明記されています。
(http://www.toshiba.co.jp/about/info-accounting/#2015)
「上司の指示通りに行動する」とは、「自分の頭では考えない」ことを意味します。
そこには、強い当事者意識も生まれません。
従業員教育を繰り返しても、企業倫理は崩壊するでしょう。
そして、無責任体制によって組織は崩壊していくのです。
土光さんは、
幹部はえらい人ではなく、つらい人だと知れ
と発言しています。
このような「覚悟」を持ったリーダー人材を育てることができなかったことが東芝を衰退させました。
東芝は「頭は良いけれど、優れたリーダーがいない」と揶揄されることがあります。
「覚悟」がなければ、組織は崩壊します。
「覚悟」は自分の頭で考えて、自分で目標設定することから生まれます。
当事者意識がなければ、覚悟が生まれるはずがありません。
リーダーの覚悟が、組織の命運を握るのです。
東芝の新しい会長に元三井住友銀行の車谷暢昭さんが就任しました。
東芝が危機になると、「外からエライ人が来て助けてくれる」と話す管理職が東芝にはいたとの噂を耳にしたことがあります。
車谷暢昭さんが東芝の文化を変える覚悟を持った名経営者となるのか注目したいと思います。
うつみ まさき
(内海 正樹)
コーポレート・コーチ
(株)イノベーション・ラボラトリ
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