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NECの人員削減は企業再生マインドを作ることができるか?【リストラクチャリング・変革・マインドセットとコーポレートコーチング】

NECが国内の間接部門(総務など)やハードウエア事業領域で希望退職を募り、国内8万人のグループ社員のうち3000人程度の人員削減を行うことがニュースとなりました。(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2632459030012018TJ2000/)

NECのホームページ(NECの歩み)に記載されてはいませんが、NECはこの十数年でリストラクチャリング、人員削減を繰り返しています。 
2001年から既に3回の人員削減が実施されており、約11300人がNECグループを離れました。

NECは電電御三家の1社で、過去に通信とコンピュータに関わる電機メーカーとして隆盛を極めました。

しかし、PC98シリーズで市場を席巻したパソコンや半導体、携帯電話、ビッグローブなど多くの人たちに知られる代表的な事業を次々と売却しています。
事実上、ものづくりからは徹底したと言うことです。

かつて5兆円を超したNECの時価総額は現在8000億円台に落ち込んでいます。(競合企業であるNTTデータや富士通の半分以下の規模です。)

そして人員削減の過程で、上司による厳しい面談が繰り返されたこともニュースになりました。(この事件は、国会で追及されたほどです。)

一方で、防犯IT事業大手の英ノースゲート・パブリック・サービシズ(NPS)を713億円で買収することも発表されました。
欧米を中心に政府機関や自治体、警察機関に販路を持つIT企業の買収を進める方針は維持するとのことです。
今後成長に向けて、IT(情報技術)を使った防犯(セーフティー)分野に注力するためです。

確かに、セーフティー分野は今後の重要分野でしょう。
ただし、現在IoT、AI、クラウドなどのソフトウェアサービスは「多くの経営者が何をしたら良いかが分からなくなった時に口にする使う常套句」であることを忘れてはなりません。(NECが分かっていないと明言するものではありません)
具体的な戦略やその成果はこれから明らかになる段階なのです。

記者発表で、新野隆社長は人員削減は「苦渋の決断だった」と発言しています。
そして、
  「今やらないと(時代の)スピードに乗り遅れるという、大きな恐怖感があった
とも発言しています。

「苦渋の決断」であることは本心でしょう。
今回の人員削減は、「ウチの社員だけではもう稼ぐことができません」と表明したことに他なりません。 もちろん、それは社員さんが悪い訳ではありません。

NECの構造改革では、GEや東芝が活用しているシックスシグマを参考としていると報道されています。(https://newswitch.jp/p/3495)
シックスシグマとは、定量的管理を旨とする改善手法です。
今回の人員削減策は、NECの中にシックスシグマが対象にする領域以外にも改善・変革しなければならない領域があったことを意味しています。

NECが公開している資料を見ると、これまでにも「意識改革」、「風土改革」と言うフレーズをたびたび目にします。

構造改革(リストラクチャリング)を進める際には、NECに限らずどんな会社であっても意識改革が必要です。
それまでの常識や成功の方程式では立ち行かなくなったため、会社として構造改革に着手するのです。

しかし、改革を進める当事者でさえ「意識改革・風土改革とは具体的に何をすれば実現されるのか?」は明確に理解できなかったかもしれません。

たとえば、管理職を研修室に集めた集合教育で「意識改革をしましょう」とスローガンを繰り返し、宣誓書を書くというセレモニーはよく見かけます。
しかし、そのようなセレモニーだけで意識改革が実現した例を私は聞いたことがありません。
改善・変革が定着せず、形骸化してしまうのです。

『モチベーション3.0』の中でダニエル・ピンクは
  人の意識についての研究成果が
  ビジネスの世界で十分に生かしきれていない
ことを嘆いています。

会社のリーダーたちは組織・部門の目標達成で精一杯となり、メンバーたちの内発的動機や自律性に配慮することが出来なくなっているからです。(そして、配慮する方法も学んでいないでしょう)

多くの会社の意識改革・風土改革は失敗するべくして失敗するのです。

そして本音として、人の意識が改革されることが信じられなくなっています。
それでは会社の中で創造性が発揮されません。
  どうせ人は変わらない
と多くのリーダーは諦めています。

多くの研究者や先人の努力によって人も組織も変わる(成長する)ことが明確になっています。
内発的動機に関わる目標を設定し、コミュニケーションの場を変え、エフィカシーを高めることで会社は変わることができるのです。

多くの職場が輝きを取り戻すことで従業員も会社も目標を達成し、「幸せな感情」を実感できる日が来ることを心から祈っています。

うつみ まさき
コーポレート・コーチ
(株)イノベーション・ラボラトリ
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