数年前まで、「失われた20年」と言う言葉が流行語のように使われました。
1991年からの約20年は日本経済の成長がなく、その消失感を良く表現していると思います。現在、上場企業の一部は多くの利益を出すようになりましたが、それでも社会全体としては「不景気」「先行き不安」の感覚が社会に存在します。
先行きが不透明の業界のひとつはアパレル業界です。
『誰がアパレル業界を殺すのか』と言うショッキングなタイトルをつけた書籍が出版されて話題になりましたが、その著者が日経ビジネスON-LINEで大変に興味深い意見を述べられています。
「アパレル業界は、タイタニック号のよう」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/092900020/060900020/?n_cid=nbpnbo_nb_fb
現在のアパレル業界について
・ほしいもの(服)がない
・多くの人が買いたいと思う「ブーム」「流行」がなくなった
・アパレルは「流行」を前提としていたので、ビジネスが苦しい
そして、
・大手企業に変革の乏しい
・⾃覚し変⾰している⼈と、古い体制とのひずみが⼤きくなっている
・今までは、上司を見て商品を作ってきた
・若手の育成に力を注いでいない
・内向き思考で、世界の消費者に日本製品のすばらしさをアピールできていない
これは、家電やパソコン、携帯電話などの業界が辿った過程と共通しています。これらのビジネス領域は「ジァパン・アズ・ナンバーワン」の象徴でしたが、現在は海外メーカーの軍門に降りつつあります。半導体ビジネスも同様です。
凋落する企業の特徴は、「上司の顔色を見ながら仕事をするヒラメ社員たち」が力を持っていることです。多くの上司は過去の成功体験をもとにしながら仕事を進めますので、社会の変化について行くことができないのです。新聞などからの情報から「新しいことに挑戦しろ」「イノベーションを起こせ」と社員に発破をかけますが、新しいアイディアの多くは拒絶されてしまうのです。経営者やビジネスリーダーはこの構造に気がつかなければなりません。そこから新しい創造的マネジメントがはじまるのです。
日経ON-LINEの記事の中では
「我々はタイタニック号に乗っているのと同じです。甲板の上でフルコースを⾷べて⾳楽を楽しみ、少なくとも⾃分たちがいる間は船が沈まないと考えている⼈もいる。ボイラー室で働いていて、外の⾵景を知らないままの⼈もいますし、既に船を降りてほかの島にたどり着いた⼈もいる。」
と言うフレーズが印象的です。船が沈む前であれば解は存在するはずです。
現状の最適化を目指すのではなく、真のブレークスルーをソフトランディングさせることが生き残りの鍵なのです。
うつみ まさき
株式会社 イノベーション・ラボラトリ
コーポレート・コーチ