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組織の生産性を上げることで利益を出し、それと同時に働くメンバーの達成感や幸せ度合いをアップさせるための手段としては、その組織の業務プロセスに注目することは改善活動の王道です。特に、私が努めていることは「業務プロセスの問題を検討することで、業務プロセス以外の色々な問題を可視化する」ことです。

「色々な問題」の代表例は、『人間関係』でしょう。人の悩みの代表は人間関係と呼ばれています。

組織の人間関係に関してはMIT教授のダニエル・キム(Daniel Kim)さんの「成功循環モデル」が有名です。組織(職場)の人間関係が良くなれば、考え方(思考)の質が良くなり、行動が変わることにより成果(結果)が向上すると言う考え方です。

一方で、この考え方に疑問を持つ人は珍しくありません。

「仲が良くなれば気分は良いけれど、それで業績が良くなる理由が分からない」と言うことだと思います。みなさんはどのようにお考えでしょうか?

最近、粉飾決算や品質不良、品質データ改ざんなどで経営危機を迎えている大企業のニュースが珍しくありません大企業であれば、コンプライアンスを遵守するための仕組みが数多く存在するはずです。社内教育も充実しているでしょう。

それであるにも関わらず不正を食い止めることは出来なかったのでしょうか?

それは、「社長がやれと言っているので仕方がない」、「上司の指示には従わなければならない」、「他の人がやっていることだから私もやらざるを得ない」と考えている人がその組織には多いからです。このような考え方は「不正」が表沙汰になった大企業に限らず多くの組織・職場に存在します。 つまり、組織・職場では「主流になっている考え方」と違う考え方や価値観・アイディアなどを上手に検討し、取り入れることが出来ないのです。結果的には、外部の人が見ると「ウソでしょ!」と思うような非常識がまかり通ってしまうのです。

顧客の好みが激しく変わり、強力な競争相手が次々に登場する今の時代では過去の成功法則が通用しないことは当たり前であると言われます。しかし、多くの人たちは過去の成功法則・経験則の呪縛から抜け出すことが出来ません。その呪縛から抜け出すためには「自分の考えとは異なる考え方」や「今までの常識とは異なる発想」を上手に吸収する必要があるのです。新しい潮流にいち早く接する現場の声が伝わるためには「それを口にしても良い」と言う関係性が必要なのです。新しい情報は通常は断片的であり、整理されていません。ですから、最初の段階では「突拍子もない話」「何を言っているのか良くわからない話」に聞こえることが珍しくありません。それでも、その情報を伝えかつ上手に取り込むことができる関係性つまり質の高い信頼関係が必要なのです。 

  ~逆に言えば、「不正」を行った企業からは問題が表面化する前に先見性のある人材が数多く流出してしまうのです。結果的に、同じ思考の人たちが残り、組織が老化し、重病になってしまったのです。~

ただし、言うは易し、行うは難し。

そのためのマインドセットやコミュニケーション能力・コミュニケーションプロセスを身につけるには学習や練習が必要です。

学習する組織が生き残り、成長するのです。

 

 うつみ まさき

  イノベーション・ラボラトリ

  コーポレートコーチ