常に現場・現物を見る
学生時代に私が目にした受験参考書に「合格したい学校に実際に行ってみましょう」と書かれていました。最初にそれを読んだ時に私は「あまり効果はないのではないか?」と思ったのです。受験会場への道順を確認する程度の理由だと考えたのです。
ただ、有名校に合格している人たちの中には受験前に希望校を見学している人は多かったのも事実です。現場・現実に触れることで気づくことは数多いのです。校風は直接触れなければ分かりません。
商品企画やシステム開発をしている人たちの中に、実際にそれを利用している人たちの様子を知らない人は案外に多いものです。 仮に食品メーカーの人が「この原材料がこの程度の量、この程度の価格で入手できるからこんな商品を作ろう」と商品開発していたら消費者のニーズをあったものを作ることはできません。仮にテレビの商品企画担当者が、技術動向や他社製品の機能や価格だけで新製品の価格や仕様を決めていてはヒット商品を作ることはできません。 仮に事業計画を作る際に日本経済新聞や日経BP社の雑誌を読んだだけで事業規模を決めていては精度の良い予算を組むことはできません。
第3者から見ると非常識なことを当事者は常識と思うことは良くあることです。非常識を常識と考える人たち同士で話し合っていても、自分たちの誤りを見つけることはできません。
気づくためには素直な目で現実・現場を見ることです。
「本社からエライ人が見に来るので、整理整頓しておこう」と脚色された現場を見て満足している経営幹部の方もいらっしゃいます。それでは何の成長も生まれないのです。短絡的に目の前も問題のみを見つめるのは、現場を知らず全体像が分からなくなっているからです。
本社の会議室で「数字を持ってこい」と幹部が言い始めたときは危機が始まっています。船は沈みかけているのです。
うつみ まさき
コーポレート・コーチ
(株)イノベーション・ラボラトリ