リーダーシップとパフォーマンス:認識・価値観が成果・成長を決める
リーダーシップやプロジェクトマネジメントにとって、「どのような思考様式(マインドセット)を持つか」は大変に重要な問題です。 思考様式(マインドセット)によって認識が変わります。そして、意志決定や行動の選択が大きく変化します。
ただ、技術や手法と異なり思考様式(マインドセット)の話題は「ピン」と来ない方が多いのも事実です。たとえばトレーニングや説明会において、主催者から技術や方法論の説明だけを期待される場合もあるようです。 しかし、「法令遵守」や「倫理」が企業にとって欠かすことができない現実があり、思考様式への認識がビジネスの成立を左右しています。(近年の不祥事が企業の財務基盤を危うくしています)
多くのビジネスパーソンにとって思考様式による認知現象の違いは、「認知行動療法によってメンタルヘルスによい効果がある」と言うような(自分とはあまり関係のない)知識に過ぎないと思われているのかもしれません。
思考様式と世界観・現状認知の関係を得心するプロセスは個人の経験や価値観に大きく関わるため、「このような説明をすると得心できます」と言う一般論を作ることは困難です。
私は、物理学者アインシュタインとノーベル文学賞受賞者タゴールの対談を知ることがきっかけとなり認識を新たにしました。 この対談については、タゴールの「人間の宗教」に紹介されています。(テレビ番組などでもたびたび解説されているようです)
簡単に内容を記すならば、対談の場で
・アインシュタインが「真理は人間とは無関係に存在する」ことを主張したのに対して、
・タゴールは「真理は心によってつくり出される」と主張した
のです。アインシュタインは「客観的」に真理が存在するのではないかと主張すると、タゴールは「月はそれが月と認識した人がいるから月である。なぜならば、月は無数の原子が集まっているに過ぎないのだから」と応じるのです。
この話で、物理学を大学で学んだ私は強い感銘を受けました。
認識が変わることで、解釈が大きく変わると理解しました。
ビジネスにおける多くの話し合い、会議の場で「お互いの正義を譲らず、合意ができない光景」を目の当たりにしていた私には画期的でした。 対立する2者の「心の地図(価値観・優先順位)」が異なっている状態では効率の悪い妥協をするか、大きな権力を持つ人の好き勝手な結論に従わざるを得ないことが理解できました。 また、リーダーの心の地図が間違っていては同じようなビジネス上の負け戦を繰り返すことになる現実が私なりに理解できたのです。
それから、私は多くのキーパーソン、ステークホルダーの心の地図が自律的に修正される方法を探すことになりました。また、中堅・若手のリーダーには目先のノルマ達成だけではなく「適切で本質的な目標設定」の意味を理解してもらう方法を探すようになりました。(その結果、私はコーチングに出会うことになりました)
本質的な目標は使命感と呼ぶことが出来ます。 使命感がリーダーの行動を決定するのです。
リーダーの「心の地図(価値観・優先順位)」によって会社・組織のパフォーマンスは大きく変わります。場合によっては、命運を決めることになります。
是非とも、(目先のノルマ達成だけではなく)使命感を持って組織の成長・変革を目指しましょう。大きな成果を出しましょう。 がんばりましょう。
うつみ まさき
コーポレート・コーチ
(株)イノベーション・ラボラトリ
https://innovation-labo.com/