会社・職場を良くするために、コーチング:組織になると失敗する会社の事件
私は色々な会社の人たちとお仕事をしてきました。
経験的に日本の多くのビジネスパーソンやエンジニアは、多くの場合にひとりひとりの性格は誠実で能力は高いと思っています。 ただその誠実さや優秀さが活かされず、プロジェクトが失敗してしまうケース・大赤字になるケースがとても多いことが大変に残念です。
あるメーカーさんで、重要なお客さまのお仕事(システム開発)で起こった事例です。 競合他社さんと激しく受注競争をしていましたが、ひとりの経営幹部の方はどうしてもこの仕事を受注したいと考えていました。
技術部門の担当者達は「この金額、納期では作れない」と判断していたため、営業担当者は受注活動から撤退する準備を進めていました。 しかし、推進役経営幹部からの「鶴の一声」で戦略的に受注することになったのです。 まさに、赤字覚悟の判断でした。
設計・製造部門ではシステムの納期に間に合わせるために人を増員し、長時間残業・休日出勤を続けました。 ただしお客さまからの機能仕様変更が続き、システム開発は納期に間に合ったものの、納品後に大トラブルを発生させてしまいました。 その対応もあり、プロジェクトは大きな赤字を発生させてしまいました。
トラブル対応の費用もますます膨らみ、プロジェクトのリーダーは品質安定化と赤字対策の説明を繰り返すことになりました。(本当は納品したシステムの品質を安定させるためにがんばらなくてはならないのに) 経理担当の経営幹部からは「なぜこんな大赤字になるのだ」と叱責されたからです。 ちなみにこの頃には推進役の経営幹部は別会社に異動していたため、「全てプロジェクト側の実力不足」と言う認識が社内に広がっていました。
当然のようにプロジェクトの担当者達は「うちの会社はバカばかりだ」とやる気をなくしてしまい、中には転職を考えるメンバーも現れたのでした。
ひとりひとりは優秀でも、組織になると個人の高い能力や知識が発揮されず大失敗を繰り返すことが良くあります。 原因には色々な要因が関係しているでしょう。
・意志決定の責任の所在
・技術力の空洞化
・被害者意識・縄張り意識
・風通しの悪さ
・目の前のことだけ、上司の顔色で判断する
・etc.
大切なことは結果をふり返り、忖度なく冷静に問題を明確化することです。
そして、同じ過ちを繰り返さないように、隣のプロジェクトの失敗と同じ失敗を自分たちが繰り返さないように職場を良くしていくことです。 時には、第3者的視点で職場での仕事を冷静にチェックしてくれる人の存在が必要です。
職場が合理的・理性的に思考できるようにすることが成功・成長への近道です。
そうすれば、関係者が協力できる場面が増えます。
犯人捜しをして、誰かに責任を押しつけても会社も従業員も幸せになりません。
同じような失敗を繰り返すだけなのですから。
うつみ まさき
コーポレート・コーチ
(株)イノベーション・ラボラトリ
https://innovation-labo.com/
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