小室引退に見る「リーダーの孤独と救済」【マインドセット、サポート、リスクマネジメント】
2017年1月19日に音楽プロデューサー小室哲哉さんが記者会見を開き、引退を発表しました。
会見で引退については、週刊誌『週刊文春』1月25日号に「小室哲哉“裏切りのニンニク注射”」と題する記事が掲載されたことに対する小室さんとしての「けじめ」であると発言されました。
言うまでもなく、小室哲哉さんは日本を代表する音楽プロデューサーです。
CD売り上げが1億7,000万枚以上に達しています。
そのような人物が、「不倫疑惑」「介護」などを疲れた姿で語る様子は多くの人に強い衝撃を与えたようです。
小室さんの妻KEIKOさんは2011年秋にくも膜下出血を発症し、現在も高次脳機能障害状態です。
一方小室さんは音楽関係の業績以外についても3回の結婚歴と女性関係、2008年の詐欺事件(2009年に執行猶予5年の有罪判決)など話題が多い人物です。
そんな小室さんですが、テレビ番組『マツコの知らない世界』(2017年1月10日放送)の中で
・1990年代当時、年間90曲近く作成し、
・その人気は「自分が追いつかないんですよね。 抜かれちゃいましたよね、
自分が作っているものが自分自身を超えてしまった」
と言うほどのプレッシャーがあったことを語っています。
また、同じ番組内で宇多田ヒカルさんの登場でクリエイターとしての自信を喪失したとも語っています。
今回の小室さんの引退発表に関して介護との関係で語られることが大変に多いですが、1990年代から彼が常に強いプレッシャーの中にいたことが分かります。
それが人生のあり方に大きな影響を及ぼしたことは間違いないでしょう。
ところで、率直な感想として小室さんのような有名人・リーダーであれば「メンタル的に追い詰められた際には専門家のサポート体制も万全なのではないか」との声を耳にすることがあります。
たとえば、多くの会社では産業医やカウンセラーが従業員をサポートしています。
しかしあくまでも一般論ですが、多くのリーダーは心(マインド)に関するサポートを自分からは求めません。
その結果、頭脳明晰な方が心理的なプレッシャーによって判断を間違い、ビジネス的に深刻なダメージが発生することがあります。
肌感覚ですが、それはビジネスの世界で頻繁に起こる「事件」です。
多くの経営(マネジメント)判断のミスを後日ふり返ると、「なぜ、あのような決定をしたのだろう」といぶかる出来事に遭遇します。
色々な合理的説明をしようとしますが、心理的に過剰なプレッシャーの結果として通常の意志決定が出来なくなるリーダーが極めて多いのです。
しかし、リーダーになる人物は過去に多くの成功体験を持っています。
ですから、ピンチとなっても
・自分ひとりでできる
・放っておいてくれ
と反応しやすいのが現実です。
多くのリーダーはサポート(支援)されることを「弱さの証明」「評価や自尊心を下げる悪いこと」と言うイメージを潜在的に持っています。
その結果、泥沼にはまっていくのです。
しかし複雑で、変化のスピードが早い現代ではどれほど有能なリーダーであってもひとりの能力ではどうしても限界があります。
だからこそ、日常的に相談ができる「仲間」が必要です。
大きな目標を達成していくためには、自分とは利害関係の薄く、広い視野で客観的に現状を俯瞰できる仲間を持つことはリーダーには必須なのです。
数十年前には、リーダーが相談する相手は「占い師」や「教祖」であったかもしれません。
しかし、それは運を天に任せることに他なりません。
信頼出来る仲間を持つことで、リーダーは多くのリスクを回避できる時代になっています。
また、特別にトレーニングを受けた専門家も少しずつ増えてきています。
リーダーがマインドマネジメントできることは、結果的に周囲のメンバー・部下たちを救うことになります。
そして、リーダー自身の自己実現も可能になります。
是非、身近に心が許せる仲間を持ちましょう。
うつみ まさき
コーポレート・コーチ
(株)イノベーション・ラボラトリ
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