組織の業務を改善しようとした場合にはいくつかのパターンがあります。
例えば、会社のBPR(business process reengineering)としてERP(enterprise resource planning)パッケージを導入することも組織の業務を改善することが本当の目的のはずです。
会社の会計制度は基本的な考え方が同じはずですから、ERPパッケージの導入が期待される理由は分かります。
経営者や財務部門、情報システム部門で「同じような問題意識」を持つことが可能ですから、ERPパッケージの導入を突破口とし組織全体を改善する流れを作ることが出来れば大成功なのでしょう。
一点突破タイプの改善活動です。
一方、ものづくりの世界ではISO9001やCMMIなどの「モデル」が存在します。
システムの品質を保証することが大切なものづくりですが、品質が保証できる組織(業務プロセス)であるかどうかを評価しています。ずいぶん前から活動は行われていますから、居酒屋チェーン店のレジ部分に「QMSを大切にします」的なステッカーを見る時代になりました。
これらの改善活動は、それぞれのモデルが要求している活動(業務プロセス)が組織の中で適切に実施されているかを評価しています。総合的な改善活動です。
もちろん、日本の代表的な改善活動である「トヨタ式」は今でも機能しています。
ただ、そのような努力にも関わらず組織の生産性が向上している実感がある人はとても少ないのが現実です。
また、システムの品質問題で大企業が経営危機に陥る事態も発生しています。
多くの人が日々の忙しさに忙殺されています。改善しようとしても息切れしてしまうのです。
個人的な経験で言わせて頂けるのであれば、近い将来に生産性や品質で大きな問題が発生する可能性は高いと思います。
それほど多くの組織が綱渡りで仕事をしています。
なぜ、多くの改善活動が実を結ばないのでしようか?
原因と結果の関係は単純ではありませんが、大きな理由のひとつは
当事者のやらされ感が強い
ことです。
組織の改善に関して当事者意識が低かったり、受け身であったりするため、改善策が組織の中に浸透・定着しないのです。
当事者が逃げ出したいと思っています。
経営者や管理職もコストをかけ、トレーニングも実施していることが多いのですが、それでも定着しないのです。
浸透していないのに、あたかも改善活動を実施しているフリが続いている状態は「形骸化した状態」と言われます。
形骸化を防ぐためには色々な工夫が必要ですが、そのひとつは「自分がどのような理由で、何をしようとしているかを意識する」ことです。
個人の禁煙を例にして説明したいと思います。
たばこをたしなむ人は経験があると思いますが、たばこを吸う行為は「無意識に実行されます」。
習慣的にたばこを吸う人は「気がつくとたばこを(無意識に)吸っているのです」。
習慣になっているとはそれが自然な行為となっていると言う意味なのです。
仕事をする際には、今まで慣れ親しんだ習慣を変える必要があります。習慣とは「自動的」です。つまの、意識せずに実行されます。
ですから、新しい行動が習慣化できるまでは「行動を意識」することが大切です。
意識することで「自動運転から手動運転にスイッチが切り替わります」。
そして、スイッチの切り替えには他人からのポジティブ・フィードバックが決め手です。
「監査」とか「フィードバック」、「レビュー」と言う言葉は『出来ないことを指摘される』と言うイメージが付きまといます。だから、『嫌だなぁ。。。』となってしまいます。
最初は、『当たり前に出来ていることを労う』ことからスタートしましょう。それは「フィードバックの基本」です。
そこからコミュニケーションや情報交換、相談、信頼関係などが生まれてくるのです。
しっかりと出来ていて、お疲れさまでした
次も、よろしくお願いします
困ったことや苦労したことはありませんか?
このような会話が交わされる組織は改善活動が前進しやすいのです。
案外、心のこもったポジティブなフィードバックをしたり、されたりする経験はない人が多いのではないでしょうか。
凡事徹底。それが楽しく組織を改善するきっかけになります。
「当たり前のことを当たり前に実行するためにはどうすれば良いのか」を考えましょう。
うつみ まさき
コーポレート・コーチ
(株)イノベーション・ラボラトリ
https://innovation-labo.com/
〒170-6045 東京都豊島区東池袋3−1−1 サンシャイン60 45階
~無料の個別相談をホームページから受け付けています~