会社・組織の改善:あなたの職場に真の信頼関係はありますか?
仕事の効率や品質を上げようとする改善活動は多くの会社・組織で行われています。
今のままの会社・職場では良くないと考えている人が存在するからでしょう。
私がコーポレート・コーチとしてそれらの会社・組織でお話を伺うと「営業が動いてくれない」、「工場がちゃんとしたものを作らない」、「上司は現場を知らない」、「メンバーが言うことを聞かない」、「管理職は経営幹部の顔色ばかりを気にして、顧客のことを考えない」と確かに問題山積です。
ある会社で職場メンバーの方々と対話をした際のことですが、経営幹部が「コミュニケーションに課題があるので、改善するように」と指示したところ、管理職から現場担当者には「メールの使用制限」と言う指示が出されたそうです。メールの送信受信数はカウントすることができるので効果測定がしやすいからではないかと噂されていました。もし本当にそうであるならば甚だしい曲解です。
またある会社で現地法人が本社の指示に従わない問題を改善する際の調査で、「本社は無理難題を現法に押しつけて問題があると現法の責任にするけれど、自分たちは何も改善しようとしない」と言う話を聞きました。本社は現地法人の責任者を交代させることで問題を解決しようとしていましたが、それだけで問題が解決できるとは思えません。
市場の変化が早く、競合他社との競争が厳しい現実があるのですから、会社・組織の中に改善課題が存在することは当然のことです。 改善課題があると言うことは、成長・発展の機会を見つけたことに等しいのです。チャンスです。 ただ、その改善課題を厳しい業務命令や、業務規定・ルールの変更、外注化・調達先変更、ITシステムの導入だけで改善しようとしても徒労に終わるでしょう。 中長期的に見た場合、そのような施策だけで生産性や品質、顧客ロイヤリティを向上させることは出来ません。なぜならば、これらの施策だけでは会社・職場の信頼関係が向上しないからです。働く人たちが安心して真剣に仕事に取り組めません。 このような場合、経営幹部・管理職・リーダーは組織に対する責任を全うする覚悟が必要です。権力を持った人たちが組織に対する責任を全うすることなく自己実現や自己利益を追求しようとする組織は荒廃します。顧客や職場メンバーよりも上司・社外利害関係者の顔色ばかりを気にすることが常識となってしまうからです。そのような心理・行動は会社・組織に信頼関係を作りません。
会社・組織を改善し、良くすることは教育と似ています。教育にはステップ(段階)があるのです。幼児教育が不全であれば、高等教育・専門教育を施しても人格的に問題を発生させる可能性があるのと同様です。大人になってから、大きな問題行動を起こすかもしれないのです。 会社・組織の改善にもステップ(段階)があります。手っ取り早く目先の解決しようとすれば会社・組織は荒廃します。
会社・組織に信頼関係を作るためには「相手の話を真摯に聞く」ことが必須です。聞いているフリをしただけでは効果はありません。自分の価値観や都合で相手を評価しながら話を聞いても相手の意図・真意を聞き取ることができません。自分の価値観でアドバイスをしても相手の琴線に触れることはありません。 そのような関係性は自然に相手にも伝わり、非生産的な関係性を定着させます。
辛抱強く話を聞くためにリーダーが人格・器を作ることを避けることができません。会社・組織の大きな成長・変革は実現できないのです。
まず、リーダーの器を作ることから会社・組織の改善・変革がはじまります。
うつみ まさき
コーポレート・コーチ
(株)イノベーション・ラボラトリ
https://innovation-labo.com/