会社・組織の改善:あなたの会社が明るい未来を作る
(個人の問題よりも仕組みの理解)
会社・組織は不条理なものです。
多くの人たちは何かしらの不満を持って働いています。それが当然のことのように思えるほどです。
ある組織のコーチングをしていた際に、システムエンジニアの内山さん(仮名)が相談にいらっしゃいました。人事の処遇に不満があると言うのです。処遇への不満は珍しいことではないのですが、自分の評価ではなく直属の上司Aさんに対する評価に不満があるというのです。 それは、Aさんが必要以上に高く評価されていると言う不満でした。 上司の顔色を見て仕事をしていると言う不満です。いつも泥は現場がかぶっていると言う不満です。
私も現場でAさんに対する批判を良く耳にしていました。
「なぜ、あの人が出世するのか」
実は、このような不満は珍しくないと私は思います。
会社・組織はある種のシステム(仕組み)で出来上がっています。 Aさんの個人的な個性だけではなく、会社・組織の中にあるシステム(仕組み=価値観)がAさんを出世させているのです。
たとえば、一部の大企業の経営不振がニュースとなっています。潰れるはずがないと思われている有名企業が事業撤退や倒産(の危機)に陥っています。
それを報じるニュースの中で「経営判断のミス」「経営者の能力不足」が報じられています。
確かに、一般論として経営者の質は会社の業績に大きく影響します。
しかし、有名企業には優秀な人材が入社し、切磋琢磨し、マネジメント能力がある方が経営をされているはずです。 にもかかわらず、客観的に見ると「なぜ、そんな経営判断をするのか?」と思うような決定を下した結果、会社が傾くことが珍しくありません。結果論ではなく、その瞬間に外部の多くの人が首をかしげる経営判断が行われることがあるのです。
それは、そのような意志決定をさせる「システム(仕組み)=評価関数」がその会社・組織の中に存在することが理由です。少数の「天才(経営者)」を除けば会社の意志決定は「システム(仕組み)=評価関数」の結果です。このシステムは社風、文化などと呼ばれています。
社風は明文化されたルールだけではなく、会社の中に自然に=無意識に存在しています。
無意識なので、その意志決定に異議を唱える機会が少ないのです。そして、多くの人たちが「空気を読む」習慣を持っている会社・組織では、異議を唱える人材を排除してしまいます。その結果、意志決定は保守的となり、現状維持が会社・組織の目標となって行くのです。
先ほどの上司Aさんの件も、会社・組織の中にある意志決定システムに上手に適応した結果出世したのでしょう。Aさん個人を批判しても問題は解決しません。モグラ叩きのように別の問題が発生します。部分最適ではなく、全体最適を目指すことが成功への道です。
~その後、内山さんは関係会社の経営幹部となり、その関係会社を大きく成長させました。~
現代のリーダーは会社・組織が活躍できるように、「個人」も「会社・組織」も成長させる責務を負っています。 そのためには、会社・組織の中にどのようなシステムが存在し、それは何に取って有効なのかを知ることが大切です。客観的にシステムを俯瞰して観察することで(抽象度を上げて認知することで)システムの動き(力学)を理解することが可能となります。
システムの動きが分かれば、「どこをどのように是正すると、どのように動きが変わるのか」と言う仮説を作ることができます。そして、レバレッジポイント(効果的な点)を見つけ出して、システムを変えるのです。リーダーひとりでは全体を認知することが難しい課題については志を同じくするチームを作りましょう。必要に応じてオーソリティ・専門家に支援をしてもらいましょう。
組織はシステムと言う関係性で作られています。
市場に求められる関係性を作ることで会社・組織も個人を大きく成長することを目指す時代に私たちは生きています。
未来のためにがんばりましょう。
うつみ まさき
コーポレート・コーチ
(株)イノベーション・ラボラトリ
https://innovation-labo.com/