利益・品質向上とイノベーション(変革):本当はどこが問題なのですか?
以下は、改善・変革稼働で発生する課題です。 工場でのものづくりを例として説明しますが、営業活動や間接業務の改善・変革でも同様のことが起こっています。
工場などの設計・製造部門の品質保証担当とお仕事させて頂くと、「測定できれば改善でする」と言うフレーズをたびたび耳にします。これはある意味では真理です。測定できていると言うことは可視化されていることであり、何がどの程度良いか悪いかが判断できます。何らかの対策を実施した場合の効果が検証可能になります。つまり、PDCA(plan-do-check-act )が効率的に実行できる可能性が高まります。
一方で、もちろん改善・変革活動が形骸化することも珍しくありません。たとえば、「測定すること」が目的となってしまうのです。その結果、「データの精度が悪化」して活用できなくなるのです。 また多くのデータを測定しようとして現場の協力が得られず、測定が出来なかったり、分析段階で解釈を間違ったりすることも珍しくないでしょう。 経営層から「データがあるのだから何か分かるだろう。早く改善しろ。」と言われ、無理矢理見当違いの結論を出す担当者もいます。
ただ、最も問題なのが「本当に問題になっている部分を測定しない」ことです。
たとえば、工場において検査工程の問題点は相対的に測定しやすい項目です。ところが、営業部門から提示される仕様の問題点は測定が難しい(面倒)なために測定されないことが多いものです。 すると、「本社から提示された仕様の問題点を改善するべきなのに、設計や製造工程のみに対策してしまう」のです。当然のこととして品質向上や納期短縮の効果は限定的になり、「改善・変革活動は意味がない」との印象を多くの関係者が持ってしまうことになります。
会社での改善・変革活動は段階的に実施するものですから身近なところから着手することは正しい選択です。ただし、本質的な問題に目をつぶっていては人も会社も幸せになりません。
本当はどこに是正するべき問題があるのかは「関係者であれば分かっている」場合が多いのです。 変化を恐れて、見て見ぬふりをすることが習慣となっていないでしょうか?
人と組織が成長するためには、関係者で本題の本質をしっかり見極めることが大切です。
うつみ まさき
コーポレート・コーチ
(株)イノベーション・ラボラトリ
https://innovation-labo.com/