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大相撲、川重、東芝に見るサイロ化の危機と脱出法
【内輪の論理、常識、非常識、コーチング】

コーポレート・コーチとして組織の支援をさせていただくと、
  それぞれの職場の常識と、社会的な常識との乖離
に驚くことがあります。

単純に違いを指摘すると改善できるのであれば話は簡単ですが、そう上手くは行かないことが大変に多いものです。

「今まで、ずっとそのようにしていた」「これは、ウチの伝統なのです」と認識されると問題があってもそれが見えなくなってしまいます。
  そのような内輪の論理は、サイロ・エフェクトと呼ばれることがあります。

ある有名企業で基準を大きく下回る品質でシステムの出荷を続ける組織がありました。

 結果的に毎回大赤字を発生されています。

  別の製品で赤字の埋め合わせを続ける慣例で、全く改善されません。
  担当者にとって、それが「当たり前」なのです。

 組織外から異動してきた管理職が問題を指摘しました。
  担当者からは、「現場のことが分かっていないね」と無視されてしまうそうです。

 そうしている間に、品質の問題は会社間の信頼関係を悪化させ、事業は深刻な状況になって行きました。

この種の問題は、業務規則やマニュアルなどを変えても解決しません。
仕組みは形骸化し、昔と似たような状態に戻ってしまうからです。

各担当者が「そうしたいと納得する」「自分の頭で考えて、問題や解決策を決め、実行する」ようになって、はじめて習慣が変わります。 そのためには、自分に対する問いが必要です。

どうすれば自分で考えるようになるのか?
 自分で決心し、行動するのか?
  そこがコーチングの重要なポイントです。

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自分たちの習慣を疑うことができない、つまりサイロ(孤立した倉庫)化の例として興味深いニュースを見つけました。

最近、批判されることも多い大相撲ですが、

4月4日に京都府舞鶴市で行われた大相撲春巡業で、あいさつ中市長が突然に倒れました。

市長の救命措置で駆け上がった女性たちに、日本相撲協会側が土俵を下りるよう求めるアナウンスを流したのです。女性のうち、少なくとも1人は現役の看護師だったとのことです。
(http://www.sankei.com/west/news/180405/wst1804050097-n1.html)

アナウンス以外にも、女性に向かって土俵を下りるよう協会員が指示したとも報道されています。

 また、日本相撲協会の協会員が女性らに「下りなさい」などと声を掛け、手ぶりでも下りるよう指示ことも分かっています。

 女性たちが土俵から下りた後、土俵には大量の塩がまかれたそうです。

なお、協会側はアナウンスについて
  「人命に関わる状況には不適切な対応で、深くお詫びする」と 謝罪しました。

 塩をまいたことについては「土俵で骨折や大きなけががあった際の通例で、女性が土俵に上がったこととは関係はない」と説明しています。

アナウンスの内容や、土俵に塩をまいたことは咄嗟の判断です。
協会関係者の行動は、日常的な意識の結果でしょう。

 つまり、協会側の当事者は「当たり前のことをしただけ」なのです。
 これほど大きく批判されるとは想像もしていなかったことでしょう。
  大相撲の常識は、社会の常識とは大きく乖離していたのです。

最近、企業や中央官庁の不祥事が続いています。

 たとえば、2018年12月に発生し、重大インシデントに指定された新幹線「のぞみ34号」(N700系)の台車亀裂に関して、車両メーカーである川崎重工は製造作業ミスを認めました。
 https://www.sankei.com/west/news/180301/wst1803010007-n1.html
 https://toyokeizai.net/articles/-/211007

 しかし、川重の製造現場にとっては「今までと同じ作業をしただけ」との認識でした。

 2017年10月に発覚した神戸製鋼所のデータ改ざん事件は、1970年代から続いた「習慣」の結果でした。
 http://bunshun.jp/articles/-/6512

名門企業東芝を解体に追い込んだ不正会計事件では、「上司の指示に従うことが当たり前」と言う社風が問題を大きくしました。

 業務ルールが完備された東芝でしたが、社内の常識(当たり前)が働き、組織として機能不全となったのです。
  「東芝 粉飾の原点 」小笠原 啓 (著) 日経BP社

『内輪の論理に支配された組織にはある種のマインド・コントロールが働き、
自分たちでは異常が検知できないのです。』

 サイロ化とはそれほど恐ろしい病です。

リーダーは先入観を取り払う仕掛けを持ちましょう。
 情報があっても、自分たちの都合の良い解釈をしていては意味がありません。
 外の世界を素直に知る機会が必要です。

たとえば、私たちコーポレート・コーチはリーダーの「先入観」を取り除くことが大きな仕事(ミッション)のひとつです。

先入観と言うメガネを外した時に、リーダーたちには新しい機会が見えてきます。
 その機会を活かすことが、成功への方程式です。
 自分の内面に「なぜ」と深く問いかけをすることで閉塞感を突破します。

 改めて「なぜ」と考える機会・仕組みを作るのです。

発明・発見は研究所から生まれるとは限りません。
 もしかすると、あなたの目の前に既に存在しているかもしれないのです。

うつみ まさき
(内海 正樹)
コーポレート・コーチ
(株)イノベーション・ラボラトリ
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