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組織の成長:なぜ彼は成長できたのか?

あなたの周囲にもこんな人はいないでしょうか?

私がまだ会社に入社したばかりの頃、仕事上で同じようなミスを繰り返す先輩社員たちがいました。その代表例である加藤さん(仮名)のお話です。

有名大学を卒業し、専門的な知識を持った加藤さんでしたが仕事のミスの後始末で周囲は大騒ぎになるのです。特に、当時は大変に忙しい職場だったためミスの後始末作業は大変なムダでした。私は「優秀な人なのに同じようなミスを繰り返すのは不思議だ」と思っていました。その職場にはミスが発生しないような業務プロセス・ルールがあるのですが、ミスを繰り返す加藤さんはそれらを無視して仕事をしていました。どうやら、生産性を落とす雑事と思っていたようです。加藤さんは専門的な業務知識がありましたので、ミスの後始末は別の人でもできると当時の上司は判断していたのかもしれません。

加藤さんは大変に前向き、ポジティブな方で、行動的・積極的な人でした。

加藤さんはポジティブシンキングをすることで成長・成功できると信じていたのです。ですから、ポジティブシンキングを体現している姿は印象的でした。どのようなピンチに遭遇しても弱音や愚痴を聞いたことがありません。常に明るい態度で周囲の人たちとも接していました。ただ、お客さまと会社に大きな損害を出すトラブルを続けて引き起こした頃から加藤さんも仕事の仕方を考えるようになったようです。

最終的には、周囲の人たちにも協力してもらいながら加藤さんも業務プロセス・ルールを守って仕事をするようになりました。そして、業務プロセス・ルールそのものを改善する提案などを積極的に行い、職場全体の品質向上に貢献する先輩となったのでした。

成功するために「ポジティブシンキング」「行動的姿勢」は大切であると言われています。確かに、否定的・消極的であるよりは活動量は多いと思います。一方で、「ポジティブシンキング」が常に成長を促し、生産性を上げるとは限りません。

目標の設定や考え方(思考のフレームワーク)が変わらなければ成長できないことは多いのです。

思考のフレームワークの比喩として「地図」を使うことがあります。

地図が間違っていてはどれほど前向きに、一生懸命に努力しても目的地に着くことができません。目的地からどんどんと離れてしまうこともあるのです。

ですから、思考のフレームワークを整えることは生産性を上げ、職場すなわち会社を幸せにするためには大変に重要です。最初に改善することはフレームワークです。

思考のフレームワークが整えば、目標に向かって最適なコースを選択することも可能です。ただ、自分のフレームワークがどのようになっているのかは自分自身では良く分からないものです。分からなければ改善することはできません。職場、周囲の人たちと相互に信頼関係を作り、お互いのフレームワークを整える環境を作ることで会社・職場に達成感と幸せを呼び込む環境を作りましょう。

うつみ まさき

コーポレート・コーチ

(株)イノベーション・ラボラトリ