仕事の仕組みとイノベーション(変革):人づくりと蜘蛛の糸
多くの経営者・部課長さんの悩みを伺うと、「自分の部門には優秀な部下がいない」がとても多いことに気がつきます。 「丁寧に説明したはずなのに理解してくれない」、「指示されるまでは何もしない、自分で考えない」、「ちょっと注意をすると拗ねてしまう」などの不満は多くの職場の管理職さんが口にします。 みなさんは「昔の若手はこんなではなかった」、「自分は若い時からもっとちゃんとしていた」とも仰います。
そんな職場では、自分で仕事をした方が早いと考えた管理職さんが仕事を自分で抱え込み、休日出勤を繰り返すことも当たり前になっているようです。
そんな時、私は芥川龍之介の「蜘蛛の糸」の話をします。
「蜘蛛の糸」は多くの人が学校で習った有名なお話です。
あらすじは、
地獄に落ちた罪人のカンダタは、生きている時に踏み潰しそうになった蜘蛛を踏まず、その命を助けたことがありました。
そこで、お釈迦様が地獄に蜘蛛の糸を垂らしてカンダタを救済しようとしたのです。
喜んだカンダタは蜘蛛の糸を登りはじめました。 糸を登るカンダタは、途中で自分の後から無数の罪人たちが糸を登ることに気がつき「この蜘蛛の糸は己のものだぞ。下りろ。」と叫んだのです。すると、蜘蛛の糸は切れて、カンダタは地獄に落ちて行きました。
と言うお話です。
お釈迦様が垂らした糸(ツール)でさえ心が成長しなかった罪人カンダタを救うことができませんでした。 どれほど優れたツール(人事制度、業務ルール、ITシステム)を駆使したところで、それを活用する人が育たなければ成果はついてこないのです。
自分たちが成長した環境と、現在の環境は異なります。自分たちの常識が現在通用しないことは当たり前です。 昔であればスポーツの練習中に水を飲むことが禁止されていました。今は水分補給が常識です。常識は変わるものです。
部下は単に仕事をさせるためのツール(手段)ではありません。 理屈では分かっていても、日常行動・マネジメントの場でそれが理解できていない管理職さんはとても多いことが大変に心配です。 管理職のみなさんから「そんなゆとりはない」「そんな給料はもらっていない」と言われることがあるかもしれません。 ただ、単純化されたルーチンワークはこれから次々と自動化されるでしょう。だからこそ、管理職(課長)さんの「人を育てる決意」が会社の利益に直結します。人材育成が出来なければ会社はあっという間に傾きます。
人が育ってこそ、チームとして職場の生産性が上がり、会社は利益を出すことを常に意識しましょう。
経営者・管理職の最大の仕事は人を育てることだと悟りましょう。
うつみ まさき
コーポレート・コーチ
(株)イノベーション・ラボラトリ
https://innovation-labo.com/
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