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会社・職場を良くするコーチング: 名経営者になれなかったNさんが他界

先日、日本を代表する巨大企業T社のリーダーであったNさんが先日亡くなりました。
事情を知る方の言葉によると大変に「頭の良い人」だったそうです。「イノベーション」などのカタカナ(横文字)を使い、積極的なマネジメント・投資を行いました。 新しいT社を作ってくれる期待をした方も多かったそうです

 

ただ、最近では後任リーダーであるSさんとの激しい対立などが話題となり、結果的には巨大企業T社を解体するきっかけを作りました。

Nさんは激しい派閥闘争で社内の対立勢力を排除することでリーダーになった方です。 それは、社史も書き換えるレベルの徹底ぶりです。
色々なお話から考えると、優秀なNさんが不幸だったのは「自分以外の人たちがバカに見えた」のではないかと思うほど自分で全てを決めたことでしょう。 他人を信頼することが出来なかったのだと思います。 

排除の理論も徹底していますから周囲からは忖度され、イエスマンばかりを育てたのかもしれません。 厳しい言葉で部下を恫喝したそうです。 (それはSさんも同様でしょう) ルール無用の振る舞いが続いたとのことです。

 

結局、巨大企業T社をマネジメントすることは個人の力ではできませんでした。 市場での激しい競争を勝ち残るためには、従業員の心をひとつにまとめること(心のベクトルをあわせること)が重要なのです。

 

T社には優秀な社員・技術者も多く在職していました。 優れた社員教育の仕組みも存在したかもしれません。 ただし、1990年代後半から人材育成が出来ていないと言われました。 人材のレベル低下が業績を押し下げ、事業の縮小均衡を繰り返すことで組織をますます疲弊させました。 従業員はある意味では当事者です。 ただ、多くの従業員は当事者だからこそ、会社が腐敗していく実感がなかったのかもしれません。

表面的な綺麗事が従業員の心に響かなくなり、多くのメッセージが建前に見えるようになっては会社の活力は消滅します。
米国流の理路整然として経営理論・戦略理論は頭の良い人たちにとっては魅力的かもしれません。 それでも、会社は人に質と行動によって成長し、衰退します。

他人を信頼出来ない人は、他人から信頼されません。
人を育てることができない人は、会社を育てることができません。
目先の利益に執着する会社は社会に貢献できず、いかに技術力があっても存在することができません。
NさんやSさんはそれを証明したリーダーでした。

うつみ まさき
コーポレート・コーチ
(株)イノベーション・ラボラトリ
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