リーダーシップは確信することからはじまる
現在、組織の中で多くの仕事はプロジェクトとして行われています。つまり、ルーチンワークだけでは仕事が進まなくなっているのです。
私は事業部門やコンサルタント、コーチとして多くのマネージャーやリーダーと仕事をしてきました。そして、リーダーシップの重要性が一層意識されるため各種リーダーシップトレーニングの研究開発も行いました。
結果的に実感するのはリーダー、そしてリーダーシップにとって最も重要なことは、
自分は目標達成ができると言う信念
だと言うことです。信念と言うことは「仮に客観的根拠が不足しているとしても信じる力」が必要です。 信念を持つと言うことは、仕事・プロジェクトの価値・意義を強く信じていると言うことです。
経験や知識はもちろん大切です。また、ITシステムや業務プロセスもリーダーを強く支援します。ですから、それらの整備が不十分ではリーダーシップの発揮は難しいことは間違いありません。一方、多くのプロジェクトでは利害関係者(ステークホルダー)が増加し、条件や環境が流動的になっています。社会制度も技術動向も急激に変化しています。
プロジェクトの計画時にどれほど綿密に計画立案しても、またリスクマネジメントを徹底してもプロジェクトは「暴風雨の中を進む客船」のように混乱することが珍しくないのです。
そして、時として造反や離脱が起こることでプロジェクトの混乱に一層拍車がかかります。
プロジェクトの繁忙期に会社に出てくることが出来なくなるリーダーや、早朝からトイレで嗚咽するマネージャーには何度も遭遇しました。それほどリーダーへのプレッシャー・ストレスは大きいのです。
そのようなプロジェクトを進めるためにはプロジェクトメンバーの協力は不可欠です。プロジェクトメンバーは「目標達成に自信のないリーダー」に心から協力する気持ちになるでしょうか? 答えは「否」です。リーダーがフラフラと揺らいでいるときにはメンバーの自己防衛本能が強く機能します。昨日まで動いていた業務が急に動かなくなるのです。
リーダーの強い信念がメンバーの心を動かします。
もちろん、リーダーは信念を伝えるためのコミュニケーション能力がなければなりません。ただ、伝えるべき信念がなければコミュニケーション能力だけで人を操作することはできません。強く確信する心が多くの人たちに伝わるのです。
リーダーは孤独な立場です。出来ることであれば、周囲に心の支えを持てる環境を作る努力を忘れてはなりません。
うつみ まさき
コーポレート・コーチ
(株)イノベーション・ラボラトリ