会社・組織の改善:なぜ、あなたの会社の閉塞感は消えないのか?
今(2017年)から約20年前、ご縁があり私はコンサルティングなる仕事に関わりを持ち始めました。
それまでは会社の中で技術者として働いていました。「自分たちでモノを作る仕事」とコンサルティングでは仕事の環境・プロセスが大きく異なっており、エキサイティングな毎日を過ごしました。
当初のコンサルティングテーマは「営業改革」でした。その当時の問題意識は「仕事が人に依存しており、生産性が上がらない」ことでした。(今でもそのような営業組織は存在すると思います)
コンサルティングのためにいくつかの改善方法(方法論)を用意しましたが、その中のひとつは「営業プロセスを可視化し、個人ではなくチームで成績を上げる」ことでした。特に、BtoB営業(法人向け営業)は売るべきモノが高度で複雑な場合が多く、「何でもできるスーパーマン」のようなトップ営業担当者を育成することはできずにいる営業部門が多かったのです。可視化のために先端的なITシステムを準備し、人事制度も変更し、コンサルティング活動は進んで行きました。
コンサルティングを進める過程で強い拒否反応を示す組織や個人にも出会いました。ITシステムや人事システムを改善することだけでは彼らを納得させることが難しかったのです。今のままでは事業の継続が難しい場合でも。人の思考や行動が変わることは容易ではなかったのです。フラストレーションは地盤を削る地下水のように事態を不安定にしていきました。
コンサルティングの仕事に関わるようになってしばらくした時に私は『チーズはどこへ消えた?』スペンサー ジョンソン (著)と言う書籍に出会いました。この本は当時大変なベストセラーとなっていて、肯定的・否定的な意見を数多く耳にすることができました。 迷路の中で生活する2匹のネズミと2人の小人の物語です。遭遇する「大きな変化」にどのように対処するか、ネズミや小人の様子から読者は自分なりの考えを巡らすことができるようになっています。また物語の後には「ディスカッションの章」があり、高校の同窓会に集まった人たちが自分の経験や考えを語っています。
私がこの本を読んで感じたことは「未来への明るいビジョンを持ち、共有することができるかどうか?」の大切さでした。 当時、私たちのコンサルティングチームはそこまで支援することがありませんでした。
現在でも会社・組織トップがビジョンと目標を示しています。会社・組織の一部の人はそのビジョンと目標にリアリティを感じているのかもしれませんが、多くの従業員にはリアリティがないようです。リアリティがなければ、目標達成に対して中長期的に情熱を持つことには限界があるのが明らかです。真面目に取り組んだとしても、情熱(Passion)を持つことはできないでしょう。それは、惰性・形骸化のはじまりです。 多くの会社・組織の閉塞感のひとつの原因はここにあると考えています。
会社・組織に集まる人たちは色々な価値観、色々な優先順位を持っています。公式的には「会社の掲げる目標に共感した人」が入社しているのかもしれませんが、現実にはそうではない人たちも多いはずです。そして、「売り上げ○○円達成」などの目標にワクワクする人は限られているかもしれません。もしかすると、ワクワクするビジョンと目標などは考えたこともないかもしれません。
コーポレートコーチングとはこのような現実にどのように立ち向かうかを大切に考えています。だからこそ、私はコーポレートコーチングに新しい可能性を感じたのです。
もちろん簡単なことではないですが、会社・組織の閉塞感を払拭することは可能です。そこに私は希望を感じています。
うつみ まさき
コーポレート・コーチ
(株)イノベーション・ラボラトリ
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